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2010年08月24日(火)

MQL5でカスタム指標プログラム(3) [MetaTrader5]



カスタム指標プログラムでテクニカル指標を表示させる最も簡単な方法は、MQL5に既に組み込まれている関数を使うことです。

MQL5にも、MQL4のようによく使うテクニカル指標が組み込み関数として用意されています。例えば、移動平均線を算出する関数はiMA()です。

MQL4では、iMA()などの組み込みテクニカル指標関数は、その指標の値そのものが関数の戻り値だったので、

Buf[i] = iMA(NULL, 0, MAPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE, i); 

のように指標バッファ用の配列に直接代入するだけで利用することができました。

しかし、MQL5では、同じiMA()を使うにも、いくつかの手順を踏まなくてはいけません。

まずは、iMA()を利用して移動平均線を表示するMQL5プログラムを示します。


#property indicator_chart_window
#property indicator_buffers 1
#property indicator_plots 1

#property indicator_label1 "MA"
#property indicator_type1 DRAW_LINE
#property indicator_color1 Red
#property indicator_style1 STYLE_SOLID
#property indicator_width1 2

// パラメータ
input int MAPeriod = 20;

// 指標バッファ
double Buf[];

// テクニカル指標ハンドル
int hMA;

// 初期化関数
int OnInit()
{
// 指標バッファの割り当て
SetIndexBuffer(0, Buf, INDICATOR_DATA);

// テクニカル指標の初期化
hMA = iMA(NULL, 0, MAPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE);

return(0);
}

// 終了関数
void OnDeinit(const int reason)
{
// テクニカル指標の解放
IndicatorRelease(hMA);
}

// 開始関数
int OnCalculate(const int rates_total,
const int prev_calculated,
const datetime& Time[],
const double& Open[],
const double& High[],
const double& Low[],
const double& Close[],
const long& Tick_volume[],
const long& Volume[],
const int& Spread[])
{
// バッファのコピー
CopyBuffer(hMA, 0, 0, rates_total, Buf);
return(rates_total);
}

順に説明していきます。

// パラメータ
input int MAPeriod = 20;

これは、iMA()で利用する「移動平均の期間」を変えるための変数です。チャート挿入時に現れるプロパティ画面のInputsタブ(下図)で値を変えることができます。

画像(450x180)・拡大画像(719x288)

このような用途の場合、MQL4では「extern」をつけて宣言していましたが、MQL5では「input」というキーワードに変わりました。

次に、問題のiMA()の使い方ですが、

// テクニカル指標ハンドル
int hMA;

に注目してください。

テクニカル指標ハンドルとは聞きなれない言葉ですが、MQL5では、外部変数として宣言したハンドルと呼ばれる変数を介してテクニカル指標を扱うようになっているのです。

プログラム中では、「hMA」という変数は以下の3箇所に出てきます。
OnInit()中
// テクニカル指標の初期化
hMA = iMA(NULL, 0, MAPeriod, 0, MODE_SMA, PRICE_CLOSE);

OnDeinit()中
// テクニカル指標の解放
IndicatorRelease(hMA);

OnCalculate()中
// バッファのコピー
CopyBuffer(hMA, 0, 0, rates_total, Buf);

手順としては、まず、OnInit()関数の中でiMA()を呼び出し、テクニカル指標の初期化を行います。

テクニカル指標の初期化とは、プログラム内部に移動平均用の配列を確保し、チャート全体の移動平均の値を格納しておくことです。

iMA()のパラメータはMQL4の場合とほぼ同じです。この例では、挿入したチャート上での終値に対する単純移動平均(SMA)を求めます。

但し、iMA()の戻り値は移動平均の値ではなく、このテクニカル指標を特定するための値(ハンドル)です。

つまり、MQL4のように各バーにおける移動平均の値をいちいちiMA()を呼び出して算出するのではなく、移動平均の値は内部の配列に自動的に算出されるわけです。

この移動平均の入っている配列をそのまま表示すれば簡単なのですが、残念ながらこれを直接表示させることはできず、表示用の指標バッファとして割り当てられた配列にコピーしてやる必要があるのです。

それが、OnCalculate()中のCopyBuffer()という関数で行っていることです。CopyBuffer()では、最初の引数にコピーしたいテクニカル指標のハンドル、2番目の引数にテクニカル指標のインデックス(移動平均の場合、指標は1本しかないので、0を指定)を代入します。

3番目と4番目の引数は変数の型によって意味が違ってくるのですが、両方intの場合、コピーしたいテクニカル指標の位置とコピーしたい個数を指定します。0, rates_total の場合、0の位置からrates_total個の指標データをコピーすることを意味します。

そして、5番目の引数はコピー先の配列名です。ここでは、SetIndexBuffer()で割り当てた「Buf」を指定します。

これで、rates_total個、つまりチャート上のすべての移動平均の値をBuf[]にコピーすることができたわけです。

最後にOnDeinit()(MQL4のdeinit()と同じ)中でIndicatorRelease(hMA)を呼んでいますが、これは、hMAで確保した配列を解放することを意味します。このプログラムが終了すれば、移動平均の配列は不要となるので、メモリの消費を防ぐために解放しておくのです。

以上が組み込みテクニカル指標関数の最も簡単な使い方です。コンパイルしてチャートに挿入すると次のように表示されます。

画像(450x337)・拡大画像(800x600)

但し、このままでは、OnCalculate()を呼ぶ毎にチャート上のすべての移動平均の値をコピーします。新しいバーのために必要な分だけコピーするには、CopyBuffer()でコピーする個数を変えてやる必要があります。

ここで注意することは、Buf[]は、最も古いバーからインデックスが振られている配列なのに対して、hMAで確保されている内部配列は最新のバーから古い方にインデックスが振られている「時系列配列」だということです。

ですから、CopyBuffer()で、0からrates_total個というのは、最新のバーからrates_total個ということになります。そこで、rates_tatalをcountに変えると、最新のバーからcount個のデータをコピーすることになります。

プログラムは次のように追加・修正します。

int limit = prev_calculated; 
if(prev_calculated > 0) limit--;
int count = rates_total-limit;

// バッファのコピー
if(CopyBuffer(hMA, 0, 0, count, Buf) < count) return(0);

前回の記事で説明したlimitという変数を使い、count=rates_total-limit とします。すると、最初はcount=rates_total となり、すべてのデータをコピーしますが、2回目からはcount=1となるので、最新のバーのみのコピーとなります。

なお、ここでif文になっているのは、CopyBuffer()の戻り値が実際にコピーできた指標データの個数になるのですが、それが指定したcountより少ない場合、エラーなので、return(0)として次回の実行時にコピーし直すためです。

簡単な方法と言いながら、ちょっと長くなってしまいました。配列のコピーについては、別の機会にも出てきますので、そのときにまた説明します。


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Posted at 16時23分


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プロフィール

豊嶋久道

2003年よりFX取引を始め、システムトレードの道へ。最近ではFXオプション取引も含めたトレーディングシステムの研究を行っている。システムトレードを基礎から正しく理解するための情報を発信する予定。

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