2008年07月07日(月)
ランダムウォークとボラティリティ [ボラティリティ]
仮に相場がランダムウォークとしてモデル化できるとしても、色々な銘柄の株価やFXの色々な通貨ペアが同じランダムウォークだと言うには無理があります。
価格がそもそも違いますし、変動幅も全然違います。
これらの異なる相場をどうやって比較すればよいでしょうか?
ここで「ボラティリティ」と呼ばれる考え方を紹介します。
英語でVolatility、日本語訳すると変動性という意味です。
単にボラティリティが大きいとか小さいとか言うこともありますが、数値で表す場合、10%とか20%などと表します。
この値は何かというと、相場の1年間の変動率です。
ただ、ボラティリティが10%と言っても、過去1年間に実際に+10%とか、−10%動いたというわけではありません。
ランダムウォークモデルでは変動率の分布は正規分布と考えますが、ボラティリティとは、1年後の変動率のあらゆる可能性の標準偏差を表します。
これだけではよくわからないと思いますので、具体的な例で説明します。
ランダムウォークモデルでボラティリティが10%という場合、変動率の分布は下図のような正規分布となります。
正規分布の場合、標準偏差内に収まる確率が68.26%、標準偏差の2倍以内に収まる確率が95.44%であることが知られています。
ボラティリティが10%というのは変動率の標準偏差が10%ということです。
例えば、ドル円相場のボラティリティが10%という場合、1年後に10%以内、つまり90円から110円の範囲に収まる確率が68.26%、また20%以内、つまり80円から120円の範囲に収まる確率が95.44%だということになります。
また−10%以下になる確率、つまり90円以下になる確率は、50−68.26/2=15.87%、−20%以下、80円以下になる確率は、50−95.44/2=2.28%と計算できます。
ただ、確率っていうのは都合のいい数値で、いくら80円まで円高になる確率が2.28%だとしても、そうなっても別に間違いではありません。天気予報の降水確率のようなものです。
また、ボラティリティはあくまで変動率の可能性だけであって、どちらに変動するかを表すものでもありません。
ですから、ボラティリティってどうやってトレードに使うの?と思う人も多いかもしれません。
確かにトレードの仕方によっては関係のない場合もあります。
しかし、相場の性質を知る意味では重要な値ですし、ボラティリティを利用したトレード手法も数多くあります。
次回は実際の相場でのボラティリティを見てみます。
Posted at 14時02分